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オフィスの節電照明の変化実態把握と新しい省エネルギー光環境への展開


研究目的
 2011年の電力供給力不足による節電によってオフィスは消灯・減灯を余儀なくされた。その後もオフィスの光環境に関しては節電の影響が継続しているところが多い。本研究では節電からの変化の実態の記録を残すとともに、そこからオフィス照明の基本要件を抽出し、省エネルギー照明手法の開発を行う。
 節電によって、照明のエネルギー削減はランプや器具の効率の向上の他に、必要照度を下げる、照射面積を小さくする、照射時間を短くすることによる効果が大きいことが示された。これらは均一、一定を目指していたこれまでの光環境計画では触れられてこなかった方法である。本研究では必要照度の見直しの他に、照射面積、照射時間を考える。人の視覚特性と生体リズムを利用した「不均一・変動照明」による省エネ光環境の提案を行う。適切な省エネ光環境を導くことで節電後の反動を防ぐことができる。


MEMBERS
 研究代表者: 東海大学・工学部      岩田 利枝 教授
 研究分担者: 東京理科大学・理工学部   吉澤 望 准教授
        千葉工業大学・工学部    望月 悦子 教授
        東京大学・工学研究科    平手 小太郎 教授
        千葉大学・工学研究科    宗方 淳 准教授
        福井大学・工学研究科    明石 行生 准教授

研究実績
  1)2012年度研究業績

本年度(~平成26年3月31日)の研究実施計画

1.節電環境におけるオフィス光環境の実態把握調査の経年変化
 24年度「節電環境におけるオフィス光環境の実態把握調査」を継続して行う。調査は
 a. 施設の管理者対象:節電対策手法に関するアンケート
 b. 執務者対象:光環境評価
 c. 光環境実測調査
 d. BEMSデータ、および実測消費電力の経時変化調査
 これまでのデータは既に論文として発表しているが、さらに対策、光環境、執務者評価、エネルギーの経年変化を明らかにする。特に執務者評価から意識(光環境期待レベル)の変化の抽出を試みる。

2.空間的不均一によるエネルギー削減と質の確保に関わる実験
2.1 タスク・アンビエント照明の提案:昨年度に試作したアンビエント照明システムを用いて、直接照明/間接照明の光束比を最適化することにより、アンビエント照明の仕様を明らかにする。明らかにした仕様のアンビエント照明器具を制作し、タスク・アンビエント照明システムを小規模オフィス(研究室)に設置、その視作業性と快適性を評価する。また、開発したタスク・アンビエント照明の消費電力量を計測し、従来の全般照明方式のオフィスのそれとを比較して、タスク・アンビエント照明器具の照明効果と効率を明らかにする。
2.2 分散制御照明の提案:昨年度行った実オフィスにおける調査結果を基に、実大実験を行う。実験スペースとして研究室一室をオフィス空間実験用に改修し長期実験を行う。照度分布条件を変えて、必要均斉度を抽出し、消費電力量を計算する。

3.変動照明によるエネルギー削減と質の確保に関わる実験
3.1 照度変動が作業効率・視覚疲労に与える影響:既往研究で午前より午後の照度・色温度を低く設定することで、執務者の作業効率の低下が緩和され、視覚疲労も軽減できることが示唆されている。照度・色温度の効果的変動方法を抽出するため、変動条件を変えた被験者実験を行う。実験室は4名分のオフィスとする。評価項目は、作業効率(VDT作業および机上作業)、唾液アミラーゼ活性、フリッカー閾値、疲労とする。
3.2 タスク・アンビエント照明における照度変動の知覚:タスク・アンビエントと変動を組み合わせにより消費電力量を押さえた照明手法を提案する。連続調光可能なアンビエントおよびタスク照明を備えた実験ブースにて、それぞれの調光パターンを変えた実験を行う。

4.昼光利用照明によるエネルギー削減と質の確保に関わる実験
ブラインドによる不快グレア抑制 と天井照射昼光利用に関する提案:屋外照度からブラインドを制御し天井反射光をアンビエント照明とすることで、天井の人工照明を制御するセンサーレス昼光アンビエント照明を考え、評価実験によって検証する。タスク・アンビエント照明では天井の明るさセンサーによって人工照明を調光制御することが難しい。直射日光を天井反射の間接光として利用することによる消費電力の削減に関して年間シミュレーションを行った結果を基に、実験室に再現した評価実験を行う。


information

岩田研究室

〒259-1292
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東海大学湘南校舎19号館418号室
TEL.0463-58-1211
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内線.6060

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